「客数は悪くないのに、売上が伸びない」。そんな悩みを抱えている飲食店オーナーは多いのではないでしょうか。
売上を構成する要素は「客数 × 客単価 × 来店頻度」の3つです。客数を増やすには広告費や時間がかかりますが、客単価を上げる施策は比較的すぐに実行でき、効果も出やすいのが特徴です。
ただし、「ただ値上げをする」だけでは、お客様が離れてしまうリスクがあります。大切なのは、お客様の満足度を維持しながら、あるいはむしろ満足度を高めながら客単価を上げることです。
この記事では、飲食店で実践できる客単価アップの方法を12種類紹介します。
飲食店の客単価の基本知識
まず、客単価に関する基本的な考え方を整理しましょう。
客単価の計算方法と業態別の目安
客単価の基本的な計算式は以下のとおりです。
客単価 = 売上高 ÷ 来店客数
業態別の平均客単価の目安は以下のとおりです。
| 業態 | ランチ客単価 | ディナー客単価 |
|---|---|---|
| カフェ | 800〜1,200円 | 1,000〜1,500円 |
| ラーメン店 | 900〜1,200円 | 900〜1,300円 |
| 居酒屋 | — | 3,000〜4,500円 |
| イタリアン | 1,200〜1,800円 | 3,500〜6,000円 |
| 和食・割烹 | 1,500〜2,500円 | 5,000〜10,000円 |
自店の客単価が業態平均と比べてどの位置にあるかを把握することで、客単価アップの伸びしろを判断できます。
客単価アップで売上はどれくらい変わるか
客単価が100円上がるだけでも、売上への影響は大きくなります。
例えば、1日の来店客数が50人のお店の場合を考えてみましょう。
- 客単価が100円アップ → 月間売上 +15万円(年間 +180万円)
- 客単価が200円アップ → 月間売上 +30万円(年間 +360万円)
- 客単価が500円アップ → 月間売上 +75万円(年間 +900万円)
客数を増やすよりも、既存のお客様の客単価を100〜200円上げる方が、実現しやすく利益率も高いのです。
客単価を上げる3つのアプローチ
客単価を上げる方法は大きく3つのアプローチに分けられます。
1. アップセル:より上位の商品を注文してもらう(普通→大盛り、レギュラー→プレミアムなど) 2. クロスセル:追加で別の商品を注文してもらう(サイドメニュー、ドリンク、デザートなど) 3. メニュー価格の見直し:メニュー自体の価格を適正に調整する
以下では、この3つのアプローチに基づいた具体的な施策を紹介していきます。
アップセル施策:より高単価な商品を選んでもらう方法
まず、お客様により高い価格帯の商品を選んでもらうためのテクニックを紹介します。
施策1:松竹梅の3段階メニュー構成
人間の心理として、3段階の選択肢がある場合、真ん中を選ぶ傾向があります。これを「松竹梅の法則」と言います。
例えば、ランチメニューを以下のように設定します。
- 梅(980円):メイン+ライス+味噌汁
- 竹(1,380円):メイン+ライス+味噌汁+サラダ+ドリンク
- 松(1,780円):メイン+ライス+味噌汁+サラダ+ドリンク+デザート
多くのお客様が真ん中の「竹」を選ぶため、単品注文よりも客単価が上がります。ポイントは、真ん中のプランのお得感を出すことです。
施策2:プレミアムメニューの導入
定番メニューの上位版となる「プレミアムメニュー」を用意しましょう。
具体例は以下のとおりです。
- 通常のハンバーグ(1,200円)に対して、「黒毛和牛100%プレミアムハンバーグ」(1,800円)
- 通常のカルボナーラ(1,100円)に対して、「パルミジャーノ・レッジャーノの濃厚カルボナーラ」(1,500円)
- 通常のコーヒー(450円)に対して、「スペシャルティコーヒー」(650円)
プレミアムメニューは全体の10〜20%程度のお客様が注文するだけでも、客単価への貢献は大きくなります。
施策3:サイズアップの提案
料理やドリンクのサイズアップを提案するのも効果的なアップセルです。
- 「プラス100円で大盛りにできますが、いかがですか?」
- 「ドリンクはMサイズからLサイズへ、プラス50円で変更できます」
- 「パスタの量を1.5倍にできますが、いかがですか?(プラス200円)」
サイズアップは原価率が低いため、利益率の高い客単価アップ施策です。
クロスセル施策:追加注文を促す方法
次に、メイン料理に加えてサイドメニューやドリンクなどの追加注文を促す施策を紹介します。
施策4:おすすめの声かけ
最もシンプルかつ効果的な方法が、スタッフからのおすすめ声かけです。
効果的な声かけのタイミングと例文は以下のとおりです。
- 注文時:「本日のおすすめは○○です。旬の食材を使っていて人気がありますよ」
- 料理提供後:「お飲み物のおかわりはいかがですか?」
- 食事中盤:「デザートメニューもご覧になりますか?本日の手作りプリンが好評です」
ただし、押し売りにならないよう、お客様の様子を見ながら自然に声をかけることが大切です。
施策5:セットメニュー・コース化
単品注文よりもセットやコースの方が客単価は上がります。お客様にとっても「お得感」があるため、満足度を維持しやすい施策です。
効果的なセット構成の例は以下のとおりです。
- ランチセット(メイン+サラダ+ドリンクで単品合計より200円お得)
- 晩酌セット(おつまみ3品+ドリンク2杯で3,000円)
- ペアコース(2名分の料理+ボトルワインで特別価格)
セットメニューは「選ぶ手間が省ける」というメリットもあり、注文率が高くなります。
施策6:デザート・食後ドリンクの充実
食後のデザートやドリンクは、追加売上の重要な機会です。
- 手作りデザートは原価率が低く、利益率が高い
- 「食後のコーヒーとデザートのセット」で400〜600円の追加売上
- 季節限定のデザートは注文率が高い
- デザートの写真をメニュー表やSNSで魅力的に見せる
デザートメニューは別の小さなメニューカードにして、食後にテーブルに置くのが効果的です。
施策7:トッピング・カスタマイズの導入
トッピングやカスタマイズは、100〜300円程度の少額追加ながら、全体で見ると大きな売上貢献になります。
- ラーメン店:味玉(100円)、チャーシュー増し(200円)、海苔増し(100円)
- パスタ店:温泉卵トッピング(150円)、生ハム追加(300円)
- カフェ:ホイップクリーム追加(100円)、ショットエスプレッソ追加(100円)
メニュー価格の見直し:適正価格への調整
メニュー価格の見直しも客単価アップの重要な手段です。
施策8:値上げの適切な実施方法
原材料費や人件費の上昇に伴い、適正な値上げは経営を維持するために必要です。
値上げを成功させるポイントは以下のとおりです。
- 段階的に行う:一度に大幅な値上げではなく、50〜100円ずつ段階的に引き上げる
- 価値の向上を伴う:値上げと同時に、食材のグレードアップや盛り付けの改善を行う
- 理由を伝える:「より良い食材を使用するため」など、ポジティブな理由を掲示する
- 全メニューを同時に上げない:人気メニューは据え置き、利益率の低いメニューから調整する
施策9:メニューブックの改善
メニューブックの見せ方を工夫するだけで、客単価は変わります。
効果的なメニュー構成のコツは以下のとおりです。
- 高単価メニューを最初のページに配置する:最初に見たものが基準価格(アンカー)となる
- おすすめメニューを目立たせる:枠で囲む、写真を大きくする、「人気No.1」の表示
- 円マーク(¥)をつけない:金額の数字だけを表記すると、価格への抵抗感が下がるという研究結果がある
- 写真を魅力的に撮り直す:美味しそうな写真は注文率を大幅に高める
施策10:原価率の最適化
客単価を上げるだけでなく、原価率を見直すことで利益率を高めることも重要です。
- フードコストの高い食材は代替食材を検討する
- 仕入先を定期的に見直し、よりコストパフォーマンスの高い業者を探す
- 食材ロスを減らすための在庫管理を徹底する
- ドリンクの原価率は一般的に低いため、ドリンクの注文率を高める施策に注力する
仕組み化で客単価を安定的に上げる方法
一時的な施策ではなく、仕組みとして客単価アップを実現する方法を紹介します。
施策11:ハッピーアワー・時間帯別メニュー
閑散時間帯の客単価を上げる工夫として、時間帯別のメニューが効果的です。
- 15〜17時のハッピーアワーで「おつまみ3品+ドリンク2杯セット」を提供
- 平日ランチの混雑を避けたい層向けに「13時以降限定のプレミアムランチ」
- 閉店1時間前の「〆のラーメンセット」
時間帯を限定することで特別感が生まれ、閑散時間帯の集客と客単価アップの両方を実現できます。
施策12:予約特典・事前注文の活用
予約時にコースやオプションを事前に選んでもらうことで、当日の客単価を確保する方法です。
- 予約限定コース(通常メニューより10%お得)の設定
- 記念日オプション(メッセージプレート、花束など)の事前追加
- 飲み放題プランの事前予約
- バースデーサプライズの事前相談
事前にコースを決めてもらうことで、当日の客単価が安定し、食材の準備もしやすくなります。
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まとめ:客単価アップは小さな工夫の積み重ねで実現できる
飲食店の客単価を上げる方法について、改めて要点を整理します。
- 客単価が100円上がるだけで、年間売上は100万円以上アップする可能性がある
- 松竹梅の3段階メニューで中間価格帯を選んでもらう
- プレミアムメニューやサイズアップで上位商品の注文を促す
- スタッフの声かけでデザートやドリンクの追加注文を増やす
- セットメニュー化でお得感を演出しつつ客単価を上げる
- メニューブックの見せ方を工夫するだけでも効果がある
- 値上げは段階的に、価値向上を伴って行う
- ハッピーアワーや予約特典で仕組みとして客単価を安定させる
大切なのは、お客様の満足度を維持しながら、自然に客単価が上がる仕組みを作ることです。まずは1〜2つの施策から始めて、効果を確認しながら徐々に取り組みを広げていきましょう。